もう2、3年ほど前のことだったか、コロナ禍が少し落ち着いたある日、タクシーに乗っていましたら、運転手さんが老後2千万円問題について話し始めました。
2019年に金融庁が、年金だけでは老後30年間でおよそ2千万円が不足するという試算を公表しました。それからしばらくの間、テレビや週刊誌などでも、「老後2千万円問題」が取り上げられていました。その翌年か翌々年のことだったと思うのです。
70歳前後と思われる運転手さんは「オレなんか、2千万なんてぜんぜん無いけど、全く困ってないよ」と話し始めました。
・・・年金と運転手の給料で暮らしてるけど、田舎の暮らしなんて、そんなにお金のかかるものじゃあないし、家もぼろだけど自分の家だから家賃とかもかからない。それに近所が農家で、親切なことに野菜なんかしょっちゅう持ってきてくれる。贅沢言わなきゃ、生活に困るなんてことはないね。コロナが広がってから、心配だし、3ヶ月ほどタクシーの仕事休んでたんだけど、それでも別に困ってない。もともと運転手の給料って安いから、年金もらえるくらいの歳になってないと、ちょっと大変かな。このところ水揚げも少ないしね。だから無理して、コロナに罹ったりするより、休んだ方がずっと気が楽だった。そんなわけで、今も気楽に働いているんだ・・・
と、そんな話をぽつりぽつりと話してくれました。健康で、毎日が穏やかに過ごしていければ、それはそれで幸せなことだと、そんな風に感じさせる運転手さんの話でした。
老後2千万円問題、もちろん沢山お金を持っていれば、それはそれで良いのですが、「無ければ大変だ!」と大騒ぎすると、その心配から、幸せが逃げて行ってしまうように思います。人それぞれに、それぞれの幸せがあります。お金があっても、なくても、それぞれの生き方を大切にして、自分らしく人生を楽しんでみる。不安があったら、ただ心配ばかりしていないで、誰かに話をしてみることで、気持ちが楽になりそうに思います。
あれこれアドバイスする前に、まず話をよ~く聞いてくれる、そんな人を探すのが第一。
幸せは人それぞれですから、どんな風にしたいのか、何を幸せと感じるのか、何が不安なのか、それを聴かないとアドバイスなんて出来ません。 聞くではなくて聴く。
私は、心を込めて、聴くことを第一にしようと心がけているのですが・・・
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